2015.5.23

NISAの7つのデメリットとは

NISAのデメリットとは?~知らないと損をする7つのデメリット~

「運用益が非課税」というNISAのメリットは大々的に取り上げられていますが、NISAも使い方によっては大きく損を出してしまうこともあります。NISAのデメリットを回避し、非課税制度を最大限活用する方法とは?

1.NISAとは

(1)現在のNISAの状況
みなさん「NISA」という言葉はご存じでしょうか。
最近テレビや新聞などでNISAが取り上げられることも多いので言葉自体は知っている、という方も多いのではないでしょうか。
NISA(少額投資非課税制度)は「自助努力による資産形成」を目的として英国のISA制度(Individual Saving Account:個人貯蓄口座)を参考に作られた制度です。
2012年3月末の日本の家計金融資産は約1600兆円ですが、そのうち「現金・預金」は約53%である一方「株式・出資金」や「投資信託」は約16%しかありません。
ちなみにアメリカは「現金・預金」が約13%、「株式・出資金」「投資信託」は約46%となっています。
データを見てもわかるように日本人は預金が好きで運用をあまり好まないという傾向にあります。
日本政府は「自助努力による資産形成」を促すために「貯蓄から運用」へという方針のもとNISAの拡充には非常に積極的です。
金融機関にとってもこれまで運用を行ったことがない方々に運用のきっかけを与える、願ってもいないチャンスなので、NISA口座を開設することでキャッシュバックやクオカードプレゼントなどのキャンペーンを積極的に行っています。NISAの一人一口座という制限もこのようなキャンペーンを助長させています。
その結果2014年12月現在およそ400万件のNISA口座が開設されています。NISAは20歳以上で日本に国籍を持っている方が対象なので主婦や学生でもNISAの利用が可能です。
NISAを利用することで、金融商品(株や投資信託)の運用益が通常20%(正確には所得税が復興特別所得税を含め15.315%、住民税が5%の合計20.315%)の税金がかかるところ年間で100万円までは一定期間(現行5年間)非課税になります。
例えば100万円の元本に対して50万円の運用益が出たとすると、20%の税金がかかるので実際の手取りは40万円になります。
しかし、NISA口座を利用している場合は50万円がそのまま受け取れる、ということです。
(2)NISAのメリット
NISAのメリットは何と言っても元本100万円までの運用益が非課税であること。
株式や投資信託を購入する場合には「NISA口座」「特定口座」「一般口座」のいずれかを開設しなければなりません。「特定口座」「一般口座」はともに20%の税金がかかります。
上場株式等の配当・譲渡所得等にかかる税率は平成25年までは10%と軽減税率が適用されていたのですが、平成26年から20%の税率に戻ることによりNISAの制度が開始されました。
NISAのメリットは利益に税金がかからないことです。利益が出ない場合はNISAのメリットを享受することはできません。

2.運用の際の課税と非課税の違い

(1)課税の場合
預金や株や投資信託などで運用を行う場合は20%の税金がかかります。例えば50万円の利益が出た場合50万円×20%=10万円の税金がかかってしまいますので実際に利益として受け取るのは50万円-10万円=40万円になります。
(2)非課税の場合
非課税の場合だと運用益がそのまま利益になるため(1)と同様に1000円の利益が出た場合、そのまま1000円が利益になります。
課税される場合と非課税の場合を比較するとどれ程の差が出るのでしょうか。
仮に毎月8万円(年間96万円)を3%の運用で5年間続けるものとします。
課税の場合…約509万円
非課税の場合…約517万円
課税されるか否かだけで約8万円の差が出ます。

3.NISAのデメリット

(1)長期運用に向かない
NISAは今まで投資をしたことがない方へ向けて少額で手軽に始められることをメリットとして謳っています。少額でもいいから長期で運用していきましょう、というスタンスなのですがNISAの非課税の期間は5年で一度終わってしまいます。
その後ロールオーバーという繰り越し制度を使うことはできます(5年間非課税期間を延長する)が、その際も上限は100万円です。5年後に元本+利益が120万円になっている場合にはNISA口座に移せるのは100万円で20万円は売却するか、一般口座・特定口座に移すことになります。

出版図書

政府広報オンライン
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201306/3.html
(2)非課税枠を再利用することはできない
NISA口座で買った商品の非課税期間は5年間ですが、もちろん非課税期間中に売却することは可能です。購入した株や投資信託が目標額まで上がった場合は売却し非課税で利益を得ることができますが、ここで注意が必要です。
NISA口座では一度使った非課税枠は再利用できません。例えばNISA口座で10万円の株を購入し売却を行った場合、残りの非課税枠は90万円になります。売却をしても10万円分の非課税枠が復活し非課税枠100万円にはならないということです。
(3)非課税枠を翌年以降に繰り越す事はできない
NISA口座の非課税金額は年間100万円までとなっています。仮に今年80万円しか投資しなかったとしても残った20万円を翌年に繰り越す事ができません。
(4)現在運用中の商品をNISA口座に移せない
NISA口座の対象は新規に購入する金融商品です。今持っている投資商品をNISA口座に移すことはできないので要注意です。
(5)他の口座との損益通算ができない(一般口座、特定口座)
投資の口座は全部で3種類あります。一般口座、特定口座、NISA口座です。
基本的に投資を行って利益が出た場合には確定申告をして税金を納めなければなりません。一方、損をした場合には確定申告をする必要はないですが、申告をすることで他の口座と通算して全体の利益を減らし結果的に納める税金の額を減らす事ができます。このことを「損益通算」といいます。
一般口座と特定口座は損益通算ができますが、NISA口座はこの二つの口座との損益通算ができません。例えばNISA口座で損失が出て、一般口座もしくは特定口座で利益が出た場合でも利益から損失を差し引くことができないということです。
(6)3年間の繰り越し控除が使えない
NISAで購入した株や投資信託が損失を出してしまった際には特定口座や一般口座との繰り越し控除(利益から過年度の損失分を控除する制度)の適用を受けることができません。
(7)実損を出していても課税される可能性がある
元本100万円までの運用益が非課税というメリットがあるNISAですが、課税されるケースがあります。
例えば当初100万円で購入した株が非課税期間終了の際に50万円に値下がりしていたと仮定します。非課税期間が終了したので一般口座に移動させました。
その後値上がりして80万円になった時点で売却しました。100万円で購入したものが50万円まで値下がりし、80万円に値上がりしましたが当初の取得価格が100万円なので利益はでていません。
しかしNISA口座から一般口座に移管させた時点での価格が取得額とみなされるので50万円から利益が出た場合20%の税金がかかってしまいます。せっかく運用益が非課税のNISA口座を使っていても一般口座に移した時点での価格で評価されるので実損を出しても課税されてしまうのです。

4.他の非課税制度

貯蓄をする際にNISA以外にも非課税の制度が活用できるものがあります。
ここでは2種類の非課税制度をご紹介します。
(1)個人年金
ここでは個人年金の控除と受給時の課税についてご紹介します。
個人年金には個人年金保険料控除という制度があります。払い込んだ保険料に対して一定の金額が所得から差し引かれ、所得税や住民税の負担が軽減される制度です。
しかしどの個人年金保険に加入しても控除が受けられるわけではありません。個人年金保険料控除が適用されるのは「個人年金保険料税制適格特約」をつけたもののみになります。
個人年金の控除額は最大で所得税40,000円、住民税28,000円となっています。
課税される所得額が330万円超695万円以下の場合、税率20%になるので
所得税:40,000円×20%=8,000円
住民税:28,000円×20%=5,600円
上記二つの合計13,600円の還付を受けられます。
受給時の課税のついては雑所得となるので年金額によっては所得税や住民税の対象となります。年金受取額がそのまま課税の対象となるのではなく過去に支払った保険料が必要経費として差し引かれます。
個人年金の場合、雑所得の金額が25万円を超えた場合に所得税の課税対象になります。
(2)確定拠出年金(401K)
確定拠出年金は退職時までの運用が可能です。そのため、老後資産を形成する長期の運用に向いています。NISAのデメリット(1)では非課税期間が5年間なので長期運用に向かない、と記述しましたが確定拠出年金はそのデメリットを補うことができます。
確定拠出年金は企業型と個人型の2種類。
いずれの場合も運用の際に出た利益は非課税、かつ拠出した掛け金は全額所得控除されるので節税の効果は非常に大きくなります。
企業型では、お勤めの企業が確定拠出年金の制度を導入している場合に利用することができます。かつての年金制度は確定給付年金が主流でしたが、実際に給付する年金よりも運用が悪い場合企業が損失を負担する必要があるため企業にとっては負担でした。
そのため従業員が自らいくつかの選択肢のなかから運用商品を検討し、将来受け取る年金はその運用成績により決定される確定拠出年金を導入する企業が増加しています。
個人型は企業型を導入していない企業の従業員や自営業の方が選択することができます。公務員や主婦、パートは対象外です。企業型を導入している企業から導入していない企業に転職をする場合は個人型に切り替えることも可能です。
ただしNISAは途中解約をすることは可能ですが、確定拠出年金は60歳までの解約は条件があるため要注意です。

5.まとめ

(1)運用の際にNISAを利用したほうがいいのか
ここまでNISAのデメリットを7つ述べてきましたが、果たしてNISAは利用したほうがよいのでしょうか。
NISAは「100万円までの元本に対する利益が非課税」という「利益」が出ることが大前提です。
そのためにはいかに運用益が出せる商品を選べるか、が最大のポイントです。
良い商品を選択し、利益を最大限に受けるためにもNISAは是非活用しましょう。
(2)あなたに合うお金の貯め方は?
今回はNISAについてお話してきましたが、お金の貯め方は運用以外にも銀行の預金、保険などいくつか種類があります。
それぞれのメリット、デメリットを簡単に説明していくと、
銀行預金の場合はいつでも簡単に出し入れができるという利点に対し、金利が非常に低いため利息でお金が増えていくのは期待できないというデメリットがあります。さらに今後経済がインフレになった場合銀行預金では対応できません。
保険は銀行預金よりも高金利であることや生命保険料控除により節税ができること、受取が一時所得扱いなので預金・運用の際の20%の課税よりも税制面で優遇を受けられる、などいくつもメリットがありますが、早期解約の場合元本割れするというデメリットがあります。
そして、運用は銀行預金、保険に比べてリターンとリスクの幅が大きくなってきます。
ではあなたにとって一番いい方法はどれなのか?
その答えを知るためにはそもそも何のために貯めていくのか、という目的を明確にすることが重要です。
老後資金なのか、教育資金なのか、単に余剰資金を増やしていきたいのか。
今持っている資産などの状況によっても異なってきますので、どの手段が自分に合っているのかを考えて貯蓄の手段を選ぶ必要があります。まずは何のために貯めるのか、目的を明確にして自分に合った貯蓄手段を選びましょう。

執筆:久保田正広

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