2016.9.14

円高・円安、むかしばなし

1.物語でわかる「お金」のしくみ

あるところに、山の民がいました。山の民は毎日狩りをして、鳥を獲って暮らしていました。特に不満はないけれど、毎日毎日、鳥料理ばかり。たまには他の食べ物が食べたいなぁと思っていますが、いつ、他の獲物が獲れるかはわかりません。

あるとき、隣の村から狩人がやってきました。見れば大きなシカを背負っています。鳥料理にあきていた山の民は大喜び。みんなこぞってシカを分けてもらいたいのですが、もちろんタダというわけにはいきません。狩人のいる村でも鳥はよく獲れるので、鳥と交換してくれと言っても断られます。そこで山の民は、狩人にシカを「きれいな透明の石」と交換してもらえませんかといったところ、よろこんで交換してくれました。

それからというもの、また隣村の狩人が来たときのために、山の民はこぞってきれいな石を探し始めました。赤い石、黄色い石、透明な石、ツルツルの石。珍しい石はそれだけでうらやましがられ、みんなほしがります。だんだんとみんなの中で「いい石」と「あまりいいとは思えない石」の序列ができてきました。

そのうち、狩人が来ないときも、山の民の中で「鳥1羽と黄色い石3つを交換してもいい」というふうに、交換する習慣ができてきました。こうすれば、狩りに行かなくても、狩りが下手な人でも、がんばってきれいな石を見つけてくれば、食べ物をGETできます。しかも、獲ってきた鳥はその日のうちに食べてしまわなくてはいけないけれど、石なら取っておいて、好きな時に交換できます。こうして、狩りをする人、石を集める人、狩りに行かない代わりに種をまいて果物を作る人、いろんな人が自分の得意な方法で生活し始めました。そして、物々交換だけだったところから、次第に物と石を交換するようになっていきました。

そうこうして暮らしていたある日、海の民がひょっこりやってきました。魚をたっくさん抱えて。
山の民は大喜び。われさきにと鳥やきれいな石を持って魚と交換してもらいに行きます。海の民も大喜び。鳥もきれいな石も海にはありません。手元の魚を交換しつくしてしまっても、もっともっと鳥やきれいな石を仲間の元に持って帰ってあげたくなりましたが、もう手元には、貝殻しか残っていません。そこで、恐る恐る山の民に聞いてみました。「この貝殻を、そのきれいな石と交換してくれませんか」と。

山の民にとって貝殻は、きらきらして珍しく、是非ともほしいと思ったので、快く交換してあげました。石はそこらじゅうに転がっていますが、貝殻は海までいかないと手に入らなかったからです。なので、赤いきれいな石1つと貝殻5枚を交換してあげました。

海の民は家に帰ります。海の民の村では、いつも食べられない鳥に大喜び。でも、赤いきれいな石を見て、みんなびっくり、うらやましがります。そんなきれいな石は見たことがなかったからです。しかも、聞けばそこいらに落ちている貝殻と、交換してくれたと言うではありませんか。海の民はこぞって貝殻を集め、袋にいっぱいになるまで拾って、みんなで山の民のところに向かいました。

海の民たちは、山の民の村に到着しました。そして、さっそく貝殻を見せ、きれいな石と交換しておくれ、と伝えました。

ところが、山の民は初めのうちこそ貝殻をみて珍しがっていたものの、あまりに目の前に大量に積み上げられている貝殻をみて、なんだか急に、貝殻に対する興味が冷めてしまいました。こんなにたくさんある貝殻に、一生懸命集めたきれいな石を交換するのがばからしくなってきたのです。山の民は、石と貝殻を交換するのをやめました。海の民は仕方なく、貝殻をもって海に帰りました。

2.お金とはなにか

さて、いまのお話で、何を伝えたかったのでしょうか。それは、

  1. 「お金は信用の上に成り立っている」
  2. 「お金には3つの役割がある」
  3. 「お金や物の価値は、需要と供給で成り立っている」

ということです。

まず、山の民の間で「きれいな石」が流通していたこと。これは「きれいな石」に共通の価値を見出し、その共通のルールで交換をしていました。まさにこれが「信用」の上に成り立つ、「お金」のルールです。

2つ目に、お金の3つの役割、「価値のものさしになること」「交換の手段になること」「貯蓄の手段となること」も表しています。物々交換ではできなかった概念ですよね。

3つ目に、「石と貝殻の交換」は為替の考え方を、「貝殻が多すぎて価値がなくなってしまった」はインフレの状態を表しています。

いかがでしょうか。こうやって考えていくと、難しいお金のことが、もっと身近に感じられてきませんか??

3.為替のはなし

さて、山の民と海の民の話をもうちょっとだけ続けます。

海の民は残念がりながらも、貝殻を背負って村に帰りました。もう貝殻なんて捨ててしまおうか、とも考えましたが、みんなでワイワイ貝殻を集めたあの日の記憶がすぅーっとよみがえり、甘酸っぱい青春の1ページのように思い出されました。そうすると急に捨てるつもりだった貝殻に愛着がわき、捨てるに捨てられない気持ちになってきました。

貝殻を捨てずにどうするか。海の民は話しあった結果、いったん村人の間で均等に貝殻を分け、その貝殻を使って魚やタコ・イカと交換しよう!ということなりました。

それに対し山の民はというと、あるとき山の向こうの岩場から、きれいな石がザックザック採れる場所が見つかりました。村人はそろって山の向こうでザックザク。すると、あまりにきれいな石が採れすぎてしまったために、村人はきれいな石に対する興味が徐々に失せてきました。でも、捨てるのももったいない。なので、いったん全部の石を村長に預け、管理を任せることにしました。そして村長は、きれいな石にきちんと順番をつけ、みんなに公平に配った上で、いままであいまいだった石の交換ルールをきちんと決めました。

そして村人たちは、日々の生活の中で使う分の石は手元に残し、残りの分は家にあってもじゃまなので、村長に預けるようになりました。村長はみんなの石を預かりつつ、必要に応じて山の向こうから石を掘りだしたりしながら、村全体の石の量を調節するようになりました…

山の民の通貨が「きれいな石」で、海の民の通貨が「貝殻」とした場合、石と貝殻の価値はそれぞれの希少性や品質などによっても変化しますので、そこには必ず「価値の差」が生まれます。「価値の差」があるところには、必ず「交換レート」が発生します。石1つと貝殻5枚、のように、きれいな石をほしがる人が多ければ価値は上がり、貝殻10枚とでないと交換してくれないかもしれません。逆に、石がたくさんとれるようになると、今度は石が余りだしますから、石の価値が下がって、貝殻2枚でも交換できるようになるかもしれません。

つまりこれが、「為替」の考え方の元となるものです。
話を現代に戻すと、「円」を持ちたい人が多ければ、円の価値が上がり、「円高」になります。逆に、「円」よりも「ドル」の人気が出れば、「円安・ドル高」になります。

ちなみに、世界の通貨は米ドルが基本となっているので、主語はいつも「米ドル」です。「米ドル」から見て、価値が「上がったか下がったか」、それが「円高・円安」です。

4.為替と経済

こう考えると、日本の景気が良い時は「円高」に、景気が悪ければ「円安」になると思われるでしょう。しかし、そんなに物事は単純でないのが経済の世界です。単純だったらみんながラクして儲かっちゃいますもんね。

まず、国内のことを考えます。景気が良くなれば、投資家たちは、日本に投資したいと思い、手持ちの資産を円に換えて、円で株を買い、運用するようになります。そうすると円の価値が上がるので、「円高」になります。

「円高」になると、いままでよりも少ない「円」でたくさんの海外のものが買えるようになるので、輸入業が盛んになります。

しかし、輸入が盛んになるというのは、逆にいえば海外の会社が儲かることになるので、国内の産業は伸び悩んでいきます。

そして、国内の産業が伸び悩むと、国内の景気が悪くなり、景気が悪くなった会社に投資家は魅力を感じなくなるので、海外の儲かっている企業に投資しようと思うようになり、円を手放して、海外のお金に換えようとします。これが「円安」です。

するとどうなるか。円安になると、国内の輸出業者が同じものを海外に売ったとき、「今までの価格のまま」で売れば円に換えるとき「たくさんの円」が手に入ります。また、仮に「今までの価格より下げて」海外で売っても、円安になる前と「同じだけの円」が手に入ります。

そうすると、輸出業者は海外での競争力が強くなり、海外では「同じクオリティーなのに値段が安くなった!」と日本のモノがバカ売れ。日本の輸出業者は大儲けです。

国内の輸出業者が儲かるということは、そこで働く従業員の給料やボーナスも上がります。それによってその従業員が使うお金の量も増えます。また、国としても税収入が増えます。それらが、日本の好景気をもたらします。

そして景気が良くなると・・・
と、経済はループしていくのです。ただ、そのループは短期周期と長期周期とが複雑に絡み合い、いま、経済のループのどこの地点にいるのか、ということは正確には誰にもわかりません。

そういう仕組みで、経済は複雑でわかりにくく、でも、だからこそ面白いのです。

まとめ

そんなわけで、経済は奥が深く、わかりにくい。でも、だからこそ誰にでもチャンスはあります。いろんな観点から経済を分析し、動向を見つめ、そして自分の戦略を決め、果敢にチャレンジしていく。王道や必勝法がないからこそ、誰にでもつかめるチャンスを、あなたも是非、掴んでみてはいかがですか??

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