老後2,000万円問題の本質を読み解く!

青空にビル

老後2,000万円の問題が波紋を呼んだ騒動。

「老後2,000万円」という言葉だけが一人歩きしている感もありますが、実は老後2,000万円は金融庁の報告書においては序論に過ぎません。

では金融庁が同報告書で本当に伝えたかったことはなんだったのでしょうか?

1.金融庁の「老後2,000万円」騒動

(1)何故、老後2,000万円?

金融庁金融審議会の報告書が波紋を呼んだ「老後2,000万円問題」。麻生大臣が報告書を受け取らないとの発言から野党の追求も激化し、火に油を注ぐ展開になりました。

同報告書では、夫が65歳以上、妻が60歳以上の無職世帯では年金を受給していても、平均して毎月約5万円の赤字が出ることが書かれています。

仮に30年生きると仮定した場合、5万円×12ヵ月×30年=1,800万円
つまり、約2,000万円が不足するという計算になります。

これが老後2,000万円の根拠です。

<関連コラム>老後2,000万円問題とは何か!?

(2)老後2,000万円は報告書のメインテーマではない

実はこのデータは、今回初めて公表されたものではありません。
毎月5万円が不足するというデータは、2017年の総務省の「家計調査」において報告されており、金融庁が今回の報告書で新たに掲載したものではありません。

金融庁は報告書の中で日本の高齢化社会の「現状整理」として過去データを引用したに過ぎず、報告書の本旨ではありません。メディアが2,000万円の部分のみを強調して報道したため、「老後に2,000万円なんて聞いていないよ!」と一部の国民の反発を招きました。

年金の他に2,000万円必要といきなり言われれば困惑する方も多いでしょう。

しかし、この老後2,000万円はあくまで報告書の序論でしかなく、報告において重要な点は別なところにあります。

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2.金融庁が本当に伝えたかったことは?

では今回の報告書で、金融庁が本当に伝えたかった事はなんでしょうか?

全文を読むと、今後の日本について次のような問題意識を持っている事がわかります。

(1)多様化するライフスタイル

これまでの日本人のライフスタイルは大学卒業、新卒採用、結婚・出産、住宅購入、定年まで一つの会社に勤め、退職後は退職金と年金で過ごすという標準のライフスタイルがありました。しかし、このライフスタイルは徐々に標準的なものにならなくなってきていると指摘しています。

例えば、未婚率が上昇しており、単身の世帯が増加しています。そのため、結婚・出産や住宅購入をそもそも経験しない人が増えているのです。他にも、転職するが以前に比べ増えており、定年まで一つの会社に勤めるというケースも少なくなっています。

(2)標準モデルの崩壊による問題とは?

ライフスタイルの多様化により、日本の標準モデルが崩れつつあると報告書では指摘しています。では何が問題となるのでしょうか?
標準モデルがなくなれば、これまでと同じことをしても、老後の有効な策にはなり得ません。報告書でも各人の置かれた状況やライフプランに合わせて、老後までの「自分」のマネープランを立てていくことが必要と書かれています。

つまり、他人と同じではなく、自分だけのライフプラン・マネープランが必要になるということです。しかし、それを個々人が自分の力のみで行うのは困難が予想されます。

そのために、的確なアドバイスができるアドバイザーの存在も重要であると記載されています。ライフスタイルが多様化する中においては自分なりのライフプラン・マネープランが必要になるということでしょう。

3.それぞれが資産寿命を延ばす策を考える

一方で、長寿化が進むということは、それだけお金が多くかかることも意味します。しあわせな老後を過ごすためには、健康と共にお金も重要です。

そこで金融庁の報告書には、資産寿命を延ばすためのライフステージ別の留意点について、次のような記載があります。

(1)現役期

現役期は、長期・積立・分散投資など、少額からでも資産形成の行動を起こす時期としています。

  1. 早い時期からの資産形成の有効性を認識する
  2. 少額からであっても安定的に資産形成を行う
  3. 自らにふさわしいライフプラン・マネープランを検討する
  4. 長期的に取引できる金融サービス提供者を選ぶ

(2)リタイヤ期前後

リタイヤ期前後は、金融資産の目減り防止や計画的な資産の取崩しに向けて行動する時期としています。

  1. 退職金がある場合、それを踏まえたマネープラン等を再検討する
  2. 収支の改善策を実行する
  3. 中長期的な資産運用の継続と計画的な取崩しを実行する

(3)高齢期

高齢期は、資産の計画的な取崩しを実行すると同時に、認知・判断能力の低下や喪失に備えて行動する時期としています。

  • 心身の衰えを見据えてマネープランを見直す
  • 認知・判断能力の低下・喪失に備える

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4.おわりに

日本は世界的にみて、最も高齢化が進行している国です。しかし、高齢化対応はいまだに手探りの状況で正解はありません。

メディアでは2,000万円ばかりが一人歩きした感がありますが、今回の金融庁の報告が本当に伝えたかったことは、標準的な生き方のモデルが崩れつつある中で、①日本人一人一人が、自分らしい生き方に沿った個々のライフプラン・マネープランを考える必要があること。そして、②金融機関等には、個々の生き方に適した個別のマネープラン策定の総合的なアドバイスを行っていくことが今後求められていく、という事であり、かなり的確な問題提起だと思いますが、いかがでしょうか。

参考URL:https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

2019年7月2日
text by 久保田 正広
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