投資信託の中でも人気のある「毎月分配型」のファンド。分配金を毎月おこづかいの様に使えたらいいなと考えていらっしゃる方も多いはず。そもそも分配金で生活は可能なのか?リスクはないのか?
1.そもそも分配型投資信託とは?
分配型投資信託とは、一定の期間ごとに分配金を受け取ることができる投資信託のことです。毎月や四半期に1回、年に1回など、分配金が支払われる頻度が投資信託によって決まっています。そして、支払われる分配金には種類が二つあり、それぞれ課税方法が異なります。先ずはその違いについて見ていきましょう。
(1)「普通分配金」
普通分配金は、投資信託が元本運用で得た収益から支払われる分配金です。収益=利益となりますので、課税対象です。
(2)「特別分配金」
特別分配金は、投資信託が元本運用で収益を得られなかった場合、投資した元本から一部払い戻しされる分配金です。元本の一部払戻金し金となりますので、非課税となります。また、払戻し金の分だけ元本は減ります。
2.投資信託の分配金生活は可能か?
前項では、分配型投資信託について簡単に解説しましたが、一体全体、本当に分配金生活は可能なのでしょうか?
例えば、老後の生活費は30万円/月が必要。65歳から夫婦二人で受け取れる老齢年金は25万円/月だった場合、不足分は5万円。この毎月5万円を分配金で準備するとしたら、どれくらいの資金と利回りが必要になるのでしょうか?
(1)どれくらいの資金と利回りが必要?
投資信託の運用成績が仮に毎年5%の利回りで継続するとした場合、必要となる元本は以下の通り計算できます。
生活費差額(5万円/月)×12か月×(100÷利回り(5%))=必要元本(1200万円)
定年退職までに1200万円準備でき、この利回りが保証されれば、あとは寝ているだけで収入がある「分配金生活」も夢ではないでしょう。
(2)分配金生活は本当に可能?
夢の「分配金生活」は本当に可能でしょうか? 現実はそう簡単にうまくいきません。
それはなぜでしょか?「投資信託の分配金額は、ずっと保障されていない。」からです。
特別分配金の説明で前述しました「元本運用で収益を得られなかった場合」が継続すれば、分配金の額も減額される可能性があります。利回りが保証されていれば、永続一定額の分配金も保障され、分配金生活も夢ではなくなりますが、現実はそう甘くはありません。
3.まとめ
分配型の投資信託を選ぶ際には元本を取り崩していない商品を選ぶ必要があります。
元本を取り崩しているようなものを選んでしまったら、自身の資産を取り崩すだけでなく運用損によって大きく資産を減らしてしまう可能性もでてきます。
そもそも運用する必要があるのか、高リスクな商品に高い手数料を払う必要があるのか、しっかりと考えたうえで運用を行いましょう。
2019年7月29日
text by 久保田 正広
FPバンク