2017.3.13

相続と後見人制度の重要な関係

1.相続前に起こる重要な問題

(1)相続前に思いもよらないことが起こる可能性がある!
現代では4、5人に1人が認知症を発症してから死亡に至ると言われています。相続財産がある場合、遺言書や任意後見契約など、何も対策をしないまま被相続人が認知症になるケースも多いようです。

仮に、何も対策をせず認知症になり、その方の財産を生前に処分しなければ介護費用や終末期医療の費用が捻出できない場合、その処分にあたっては成年後見人制度に則って、家庭裁判所から指定された「法定後見人」を立てなければなりません。その処分が正当であるかを法定後見人が判断し、裁判所の指示に沿って手続きを進めることになります。

一般的に後見人には家族以外の弁護士や司法書士がなる場合が多く、近年流動性財産が1000万円を越えるとほとんど家族は法定後見人にはなれないようです。

つまり、家族の意志で自由に財産を処分することが出来ず、いちいち法定後見人の判断を仰ぐということが必要になります。また、最近は法定後見人が対象家族の財産を黙って使い込んでしまうという事件も発生し、法定後見人を監督する立場として「法定後見人監督人」も立てなくてはならない制度となっています。

ここでの問題点は、家族の意図がすんなり反映されないだけでなく、法定後見人や法定後見人監督人に顧問料(法定後見人月3万円以上、後見人監督人1万円以上と言われています)を毎月払わなければならないということです。仮に法定後見人、後見人監督人に月間5万円を払うとすると年間60万円です。また、財産を自由に使えるようにする手続きをするたびに費用も発生します。

本来、成年後見人制度は判断能力が不十分な人が不利益を被らないように、その方を援助する人つける制度と言われていますが、そういった面もある一面、家族の意思がすんなり反映せず、一つ一つの手続きに時間がかかるといったデメリットもあるのです。

(2)終末期医療で大きな費用がかかることも

認知症にならないまま、病気や老衰で意識が混迷してしまうケースにも問題が潜んでいます。スパゲティー状態といって、身体中に管が通され人工呼吸器等で機械のスイッチを切れば死んでしまうような状態になったとします。この場合、本人の意識がしっかりあるときに「延命治療はしないでほしい」と家族に伝えていたとしても、延命治療をストップされないことが多いようです。お医者様の立場からすると、そうだからといって機械のスイッチを切れないからです。延命治療の治療費が積み重なり、相続財産が減ってしまうケースも最近問題になってきています。

(3)本人、家族の意向をすんなり進めるために

相続発生前に、相続財産が成年後見人制度や終末期医療にかかる費用で少なくなってしまう、本来ならばかけなくてよい費用がかかってしまうというのは、相続においても大きな問題です。

本人や家族の意思をすんなり反映させるために、今からできることをやっておくのが得策です。後々面倒な思いや無駄な費用をかけずにすむ契約をしておくということです。それが、法務5点セットと言われているものです。その一つひとつを見ていきましょう。

2.法務5点セットで解決

(1)財産管理委任契約
認知症にならずとも足腰が弱くなると自分で金融機関に足を運ぶことが出来なくなってしまうことがあります。そんな時には、自分の財産の処分に関して代理人を立てる契約をしておくことを財産委任管理契約と言います。これにより、財産の全部もしくは一部や代理権を持つ人間が、管理内容を決めて委任することができます。ただしこちらは民法上の委任契約になるため、公正証書が作られるわけではなく、後見登記もされないので社会的信用は十分ではありませんが、実際の事務的な処理においては有効な契約です。死後に関する事務に関して委任する場合は「死後事務管理委任契約」を結ぶこともあります。

(2)任意後見人契約

将来被相続人となる方が意識明確で認知症を発症する前に、家族に後見人として任せたいということを委任しておく契約を「任意後見人契約」と言います。この契約をしておくことにより、将来被相続人となる人が認知を発症した場合、家庭裁判所に後見受任者や親族により任意後見人監督人選任の審判申し立てをします。その後、家庭裁判所より選任されて法務局に任意後見に監督人の登記をして任意後見がスタートします。

親族が任意後見人になることで費用かかからず、家族の意思をすんなり進めることができます。

(3)家族信託

相続財産に賃貸経営で家賃収入が発生するような不動産を多く持っていた場合、相続で財産を分与させたり、代償分割をすることが難しい場合は、家族信託制度を使い事前に「受託者」(信託される人)や「受益者」などを指定しておき、将来被相続人が認知症になった場合に、その任命される順位に準じて、信託権や受益権を行使することができます。事前に、金融機関にその内容の承諾を取り、不動産の登記簿謄本にその旨が記載されるため、法的な効果もあります。家族信託に関しては、まだ各金融機関も実例が少なく制度的に曖昧な面もありますので、より専門的にこの契約手続きをしている弁護士や司法書士に依頼しましょう。

(4)遺言書公正証書

遺言を書いておくことで、個人の明確な意思を財産分与において活かすことができます。この公正証書遺言では、想定される相続財産を明確にしておくことが大切です。そうしておくことで、相続税がかかるのか、節税が必要なのかもわかります。つまり、将来被相続人になる方のこれからの資金計画も考えたうえで、遺言を作っておくと安心です。

何よりも、意識がはっきりしているうちに遺言書を書いておかないと、認知になってからでは手遅れです。自分の意志や家族の意思をすんなりと進めるために最も重要なものの一つが遺言書です。公正証書をつくるのは費用も掛かりますが、家族のもめごと(争族)を回避させるためにも作っておくことをお勧めします。

(5)尊厳死宣言公正証書

延命治療の治療費も高度な治療であれば、費用も多くかかってきます。尊厳死宣言は、延命治療をするかしないかだけでなく、緩和ケアをするのか、死後の検体を希望するのか、解剖を希望しないのかなど、意識混迷になった場合の本人の希望を公正証書で残すことです。このことで、無理な延命治療をせずに尊厳死の意思を明確に示すことができるのです。

3.どのタイミングで始めるとよいか

(1)元気なうちに始めるのが大切
以上、法務5点セットのごく簡単な説明を行いましたが、では「いつ対策を始めたらよいか」と問われましたら、「元気なうちに」ということがはっきりと言えます。元気なうちにこの5点セット(もしくは家族信託を抜いた4点セット)をしておくことで、面倒な手続きや段取りや費用をかけずに済みます。仮に認知から5年かかって亡くなった場合、平均年間60万円とすると300万円も費用がかかりますが、5点セットを事前にしておくことで、(ご家族の人数や財産規模によって違いますが)おおよそ公正証書実費も含め50~100万円程度(財産が多い、財産分与のさせ方が複雑な場合は除く)なので、事前に対策をしておくとよいかなと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか。相続と認知対策は実は密接に関係してくるだけでなく、相続財産を守っていくためにも有効な対策です。まだまだこの法務5点セットのことを知らない方が多い現状です。事前に対策することで、費用がかからない、面倒なことにならない、家族の意思、本人の意思を尊重できるという、メリットが多い契約になりますので、ぜひ自分自身の家族のためにも、ご両親の相続や終末期の金銭計画や意向を尊重するためにも対策をされておいてください。詳しくはファイナンシャルプランナーや司法書士、行政書士に聞いてみましょう。FPバンクではこの「認知対策」(法務5点セット)をわかりやすく説明できるスタッフもそろっておりますので、一度ご相談ください。

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