2015.11.26

みなし相続財産の基礎知識

1.みなし相続財産ってなんだろう?

「みなし相続財産」。読んで字のごとく「相続財産とみなされる財産」のことです。裏を返せば、本来は「みなし相続財産」は相続財産ではないということなのですが、なぜそんなややこしいことが起こるのでしょうか?
(1)相続財産は「民法」と「税法」で解釈が違う!
実は、一口に相続財産と言っても「民法上の相続財産」と「税法上の相続財産」の二通りの考え方があり、この両者は大きく異なります。簡単に言ってしまえば、「民法上の相続財産」は遺産分割の基本になる考え方。一方の「税法上の相続財産」は税務署が相続税を計算する基本になる考え方です。相続を考える時、この両者を混同してしまうと全体像がつかめないことがあります。
(2)相続財産じゃないのに相続税の対象?
もうお分かりになった方もいらっしゃるでしょう。「みなし相続財産」とは、「民法上は相続財産ではないけれど、税法上は相続財産として課税される資産」のことです。ちょっと穿った見方をすれば、国がより多くの相続税を回収するための苦肉の策と言えなくもありません。

2.みなし相続財産のメリット

実際にはどんな資産がみなし相続財産とされるのでしょうか。具体例を見ながら、そのメリットを考えてみましょう。
(1) みなし相続財産の具体例
みなし相続財産としては次のようなものが考えられます。
・死亡保険金
・死亡退職金
・生命保険契約に関する権利
・定期金受け取りに関する権利(個人年金等)
・遺言によって受けた利益(借金の免除等)
大枠としては、「生前被相続人が所有していた財産ではないけれど、被相続人の死亡を原因として受け取った財産」と考えると分かりやすいでしょう。
(2)相続税の控除が使える!
特に代表的なのが、「死亡保険金」と「死亡退職金」です。この二つは相続税対策としても良く登場します。「500万円×法定相続人の数」という相続税の非課税限度額が設けられているからです。税制度全体を見渡しても相続税の非課税枠という制度はとても珍しく、そのため重宝される「死亡保険金」と「死亡退職金」ですが、そもそもは相続財産ではないことを考えれば非課税枠の処置はある意味当然なのかもしれません。

3.みなし相続財産の注意点

このように相続税の非課税枠があるために相続税対策に使われることがある「みなし相続財産」ですが、活用の仕方を間違えると思わぬトラブルになることも。特に遺産分割に於いては注意が必要です。
(1)民法的には相続財産ではない
繰り返しになりますが、「みなし相続財産」は被相続人の所有していた財産ではないので、民法上の相続財産にはカウントされません。死亡保険金の場合は、原因が被相続人の死亡だとしても受け取った保険金は受取人固有の財産とされます。
(2)遺産分割に支障をきたすことも
例えば、長男に家を遺し次男には現金を遺したいと考えた被相続人がいたとします。現金の代わりに次男を受取人にして生命保険をかけていたらどうなるでしょう。次男が受け取った死亡保険金は民法上相続財産ではなく、次男固有の財産です。つまり、民法上では次男は相続財産を1円も受け取っていないことになってしまい、長男が受け継いだ家についての権利を主張することができます。被相続人のせっかくの想いが受取人を間違えてしまったためにトラブルになるケースです。

4.まとめ

「民法」と「税法」の狭間に生まれた「みなし相続財産」。その意味を正しく理解すれば、相続税の非課税枠という大きなメリットを享受することができます。相続対策の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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