2014.10.4

生命保険の必要性とは?あなたが保険に入らなくてよい3つの理由

1.生命保険に入りたくないワケ

(1)生命保険の加入率は高い
実は、世界を広く見渡しても日本人ほど生命保険が好きな民族はいないと言われています。生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」(平成25年度)によると、日本人の生命保険の加入率は実に8割以上。5人に4人の方が何らかの形の生命保険に入っている計算になります。このデータだけ見ると、多くの人が生命保険の必要性を強く感じているように思えます。
(2)でも本当は入りたくない!
しかしその一方で、「自分から進んで生命保険に入りたい!」という方はあまり多くありません。「本当は入りたくないけれど、仕方なく入っている」という方も決して少なくないのが実情ではないでしょうか。
なぜ入りたくもない生命保険に入るのでしょうか? いや、そもそもなぜ生命保険に入りたくないのでしょうか? 生命保険に入りたくないという方にその訳を聞くと、異口同音にお答えになる理由があります。それは…、
「保険料がもったいないでしょ!」
保険は「万が一」に備えて入るもの。確かにその「万が一」が起こらなければ、高い保険料が無駄になるケースもあります。そして、「万が一」はどこまでいっても「万が一」。発生する確率が高いとは言えません。
「結局高い保険料を払って何もないまま終わるんでしょう? それって丸損だよね。」
生命保険に入りたくない方の多くが思っている本音ではないでしょうか。
(3)「万が一」を想定してみよう
ところが、冒頭で申し上げた通り、日本人の生命保険加入率は8割を超えます。多くの方が丸損覚悟で生命保険に入る意味は? 生命保険の必要性って本当にあるのでしょうか?
その答を得るためには、「万が一」になった場合を想定してみるのが一番です。「万が一」の時、どういう事態になるのか? どんな困ったことが起こるのか? その時に生命保険は本当に保険料に見合った働きをしてくれるのか? 
一般的に生命保険が必要とされる3つの場面を想定して、本当に生命保険の必要性があるのか考えてみましょう。

2.怪我や病気で入院した場合

「生命保険」と聞いて真っ先に「入院」を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。そのぐらい日本では認知度が高く、また加入率も高いのが医療保険です。
確かに入院した時に「一日いくら」で保険金が出たら嬉しいですよね。ただそのためにわざわざ毎月保険料を支払う必要性があるでしょうか。実際に病気や怪我になった時にどのくらいのお金がかかるかを考えれば、その答がでてきます。
(1)自己負担額には限度がある
実際の治療費を考えるとき、一つのキーワードがあります。それは「社会保障」です。日本はかなり社会保障が充実した国です。治療費の計算はこの社会保障抜きでは考えられません。
病院で治療を受けた時、その治療費全額が自己負担にならないのはご存じのとおりです。おなじみの健康保険(自営業の方は国民健康保険)により、自己負担額は全体の3割に抑えられます。
「3割でも何度も払ったら結構な金額になるよ」と思われた方、ご安心を。健康保険にはさらに「高額療養費」という制度があります。治療費が高額になった場合、ひと月毎の「自己負担限度額」という上限を設けるシステムです。
一般的な所得の方であれば、次の計算式で求められます。
自己負担限度額 = 8万円 + (医療費 - 26.7万 円) × 1%
例えば治療費が100万円で、その3割部分である30万円を窓口で支払ったとしても、8万7430円が自己負担限度額となります。この差額は後で払い戻しを受けられる制度になっています。さらに治療が長く続くようであれば、その自己負担限度額自体が引き下げられるという仕組みもあります。
ただし、高額療養費の対象はあくまでも健康保険の対象になる費用に限られます。先進医療にかかる費用や病室を個室にした時のいわゆる差額ベッド代などは対象となりませんのでご注意ください。
もし入院した場合でも、月々9万円程度の負担なら日頃から蓄えた貯金でカバーするという考え方は十分に選択肢となります。毎月無駄になるかもしれない保険料を払うのとどちらが良いでしょうか。
(2)入院日数は年々減ってきている
さらに、入院日数の平均が少なくなってきているというデータもあります。厚生労働省が発表した2013年の「医療施設調査と病院報告」によると、病院の平均入院日数は30.6日となっています。同調査では2011年が32.0日、2012年が31.2日ですから、年々入院日数が短くなってきているのが分かります。
その理由はいくつかありますが、その中でも特に大きいのが社会保障費用への圧迫です。前述の通り、入院を含む治療費には国の社会保障給付費が投入されていて、簡単に言えば入院が長くなれば長くなるほど社会保障給付費が使われていることになります。財政の厳しい国としてはなんとか入院期間を短くしよう躍起になっており、この傾向は今後も続くことが予想されています。
そんな中、医療保険に加入した場合はどうなるでしょう。月々の保険料が3000円だったとしてもそれを20年間払い続ければ総額は72万円にもなります(3000円×12ヶ月×20年)。保障内容が「入院日額1万円」だった場合、単純計算でその間に72日間入院しないと保険料に見合った入院給付金を受けとることができません。
入院日数がどんどん短くなっている状況下で、これほど長い期間入院する可能性がどのくらいあるでしょうか。保険を語る際の表現として適切ではないかもしれませんが、医療保険において支払ってきた保険料の「元をとる」のはなかなか大変そうです。
(3)貯める仕組みで「万が一」に備えることもできる
以上のように社会保障や入院日数の短期化をみると、生命保険の必要性が本当にあるのかますます考えてしまいます。しかも、ある程度の貯蓄があれば、「万が一」入院したからといって生活が行き詰まってしまう訳ではありません。生命保険の代わりに貯蓄を積極的に行うという選択肢はありそうです。
但し、貯蓄というのはただ漠然と考えているだけではなかなか上手くいきません。貯めよう貯めようと思っているうちに「万が一」が起きてしまったら、結果として「あ?あ、医療保険に入っておけば良かったな」ということなってしまいます。そうならないためにはきちんとお金を貯める仕組みを作っておきましょう。方法はいくつもありますので、自分にあったやり方を見つけることが大切です。

3.けがや病気で働けなくなった場合

大きなけがや病気をすると、入院するだけでなく、その後も長期間にわたって働けなくなる場合があります。その場合も治療費などの出費に加え、予定していた収入が減少する可能性があります。そうした「就業不能リスク」に備えて生命保険に入っている方もいらっしゃいます。果たしてこの場合の保険の必要性はあるでしょうか?
(1)「傷病手当金」を受け取ることができる
結論から申し上げると、たとえけがや病気で働けなくなったとしても、いきなり収入がゼロになるわけではありません。ここでも社会保障が役立ちます。
サラリーマンの方であれば、「傷病手当金」の受給が可能です。これは、働けなくなった時から最長1年6ヵ月にわたって給与の約3分の2が支給される制度で、これにより最低限の生活費を確保することができます。
またこれに上乗せする形で手当金を支給する企業もありますので 、働けなくなったとしても給与の7~8割が保証されていると考えることもできます。こちらも日頃から貯蓄をする仕組みができていれば、その蓄えで乗り切れる可能性があります。
(2)「傷病手当金」の注意点
ただし、注意しなければならないのが、「傷病手当金」が健康保険の制度であることです。自営業の方が加入している国民健康保険にはこの制度はありません。言ってみれば、サラリーマンの特権です。そうした意味では、就業不能リスクに対して自営業の方はより多くの貯蓄を用意しておく必要がありそうです。
また、サラリーマンの方で傷病手当金を受け取れるとしても収入のダウンは避けられませんので、現状で毎月の収支がプラスでなければ生活が苦しくなることが予想されます。日頃から家計の収支にも気をくばっておかないと、「万が一」に耐えきれなくなってしまうかもしれません。
(3)生命保険の必要性は人によって異なる
このように、生命保険が必要なのかどうか、必要ならどの程度までカバーできれば良いのかは、人によって違ってきます。年齢や家族構成、今貯蓄がどのくらいあるのか、家計の収支はどうなっているのか。一般論ではなく、自分の場合はどうなのかを個別に考える必要があります。
慌てて保険に加入する前に、まずは自分の現状、そして将来的な展望を一度整理しておいたほうが良いかもしれません。

4.世帯主が亡くなった場合

けがや病気以上に生命保険のイメージが強いのが、世帯主が亡くなった時の死亡保障です。「ご主人に万が一のことがあったら、遺されたご家族はどうなりますか?」と聞かれると、それがセールストークだと分かっていても生命保険の必要性を考えてしまいます。
確かに働きざかりの大黒柱を失ったら、家計に与えるダメージは大きなものになります。しかし、この場面でも解決策は生命保険ばかりとは限りません 。
(1)「遺族年金」が利用できる
ここでも、社会保障が登場します。ここでの社会保障は「遺族年金」と呼ばれるものです。遺族年金は亡くなった方の家族構成や職業によっても金額が異なりますが、一般的に世帯主がサラリーマンでお子様がお二人のようなケースですと、月額にして15万円程度が支給されます。これにより、まずは最低限の生活費を確保できます。
また、勤務先によっては死亡退職金や弔慰金がでるケースもありますので、これを生活費にプラスすることができます。
ただし、この遺族年金はずっと同じ金額がもらえるわけではありません。状況によっては減額されたり、支給が停止になることもありますので、その点には注意が必要です。
(2)住むところはどうなる?
住む場所に関してはどうでしょう。例えば、何年か前に家を購入して住宅ローンを払っている最中だったとします。ほとんどの住宅ローンでは「団体信用生命保険」への加入が義務付けられています。ローンを組んでいる方が亡くなった時には、その保険金で住宅ローンが相殺(全額返済)される仕組みになっています。
通常のケースですと、この団体信用生命保険の保険料は金利に上乗せされる形で支払われています。契約者としてはあまり保険料を支払っている感覚がないのですが、これも立派な生命保険。世帯主(=ローン債務者)が亡くなった時点で住宅ローンも消滅し、家が遺された家族のものとなるのです。
一方、賃貸住宅で暮らしていた場合ですが、さすがにこちらは世帯主が亡くなったからといって以後の家賃がタダになるということはありません。より家賃の安いところに引っ越す必要があるかも知れませんが、環境さえ許せば奥様の実家に帰るという選択肢もあります。それができれば、当座の住居は確保できるのではないでしょうか。
(3)足りない部分の補い方
問題は残りの足りない部分をどう補うかですが、これにもいくつかの解決策が考えられます。
例えば、不足分を予め貯金をしておく。
  (医療費や就業不能のために準備する金額とは桁が違うのでかなり大変ですが)
例えば、運用益が十分に出るように資産運用をしておく。
  (うまく行けば、ノーベル賞の賞金のように 永遠になくならないかも?)
例えば、家賃収入があがるように投資用不動産を購入しておく。
  (アパートローン返済で家計を圧迫しないようにご注意を)
例えば…、奥様が働く。
現実的には環境によってこれらの手段をとれる方ととれない方がいるかも知れませんが、逆に言えば、生命保険はこうした他の手段と並ぶ解決策の一つに過ぎないのです。
さあ、あなたにとって最適な解決策とはなんでしょうか?
(4)足りないのはいくら?
これまで挙げてきた解決策を見ると、自分に当てはまるものとそうでないものがあると思います。このように死亡保障の保険を用意するとしても、全ての方が同じ保険金額というわけでもありません。その方の状況によっては保障が必要ない方もいれば、逆に大きな死亡保障が必要な方もいらっしゃるでしょう。
「万が一」の時にどんな対策が打てるのか? その対策を打った上で、足りない金額がいくらなのか? 「万が一」が起きる前に考えておくことが重要です。

5.まとめ

いかがでしょうか。生命保険の必要性について3つの場面を 考えてみました。
生命保険は「なんとなく不安だから」とか、「みんな入っているから」という理由で入るものでは決してありません。自分にとって必要のない生命保険であれば、もちろん入らなくても良いのです。
ただし、「生命保険に入りたくないから」となにも考えずに放置しておくのは一番危険です。
繰り返しになりますが、まずは「万が一」が起こった時にどんな状態なるか、そしてその状態に対しどんな対策が打てるのかをはっきりさせておきましょう。
生命保険の必要性は人それぞれです。本当に大事なのは生命保険に入るか入らないかではなく、「万が一」のための備えがしっかりできているかどうかということ。その解決策は、計画的な貯金かもしれません。長期的な資産運用かもしれません。あるいは無駄のない生命保険かもしれません。そう考えれば、生命保険とは「入らなくてはいけないもの」でもなければ、逆に「頭から否定するもの」でもないことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
まずはじっくりとご自分の状況を考えてみましょう。そこにあなたなりの答がきっとあるはずです。

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