2015.8.30

401k(確定拠出年金制度) 簡単お得な401kの始め方・選び方

1. そもそも401k(確定拠出年金)って?

401k(確定拠出年金)を導入する企業が近年急激に増えています。そもそも「401k」とはなんでしょうか? なぜ「確定拠出年金」という別名があるのでしょうか? まずは401k(確定拠出年金)の基本情報を整理してみましょう。
(1) 401kの名前の由来
「401k」と「確定拠出年金」の二つ名があるこの制度。耳にするのは「401k」の方が多いかもしれません。ただ、その意味を考えるのであれば「確定拠出年金」という言葉を出発点にしたほうが分かりやすいでしょう。
「401k」という名前は、アメリカで同様の制度があり、2001年10月に日本で導入する際に参考にしたという経緯から、この制度が「日本版401k」と呼ばれたのが発端です。その後マスコミが「401k」という言葉を使うようになったため(なんとなくカッコいいから?‐笑)、内容もよく理解されないまま「401k」という言葉が一人歩きしてしまった感があります。
(2) 確定給付年金との違い
では「確定拠出年金」とは何か? この言葉の対となるのが、従来の年金制度である「確定給付年金」です。
一見同じように見える二つの言葉。真ん中の単語が「拠出」か「給付」かがその違いです。そこに二つの制度に違いを読み解くカギがあります。従来の厚生年金制度を思い起こしてください。従来の制度では、毎月の給与から決まった金額が掛金として積立てられ、将来もらえる年金額も掛金を出した時点で決まっていました。
「将来“給付”される“年金”が“確定”されている制度」。それが従来の「確定給付年金」です。一方で、新しく始まったのが「これから“拠出”していく掛金が“確定”している“年金”制度」。これが「確定拠出年金」です。裏を返せば、将来いくらもらえるかが決まっていないという点が、この制度の最大の特徴と言えるでしょう。
(3) 企業型と個人型
さらに、「確定拠出年金」を複雑にしているのが、この制度の中に「企業型」と「個人型」があるということです。非常に簡単に言えば、「企業型」は「会社(企業)が確定拠出年金を採用しているサラリーマン」のための制度、「個人型」は「個人事業主や会社(企業)が確定拠出年金を採用していないサラリーマン」のための制度です。
この両者は、大きな考え方は共通しているものの、システム上の細かい違いがあります。今回は「企業型」をメインにお話ししたいと思いますので、「個人型」についてはまた機会を改めてご紹介させていただきます。

2. なぜ導入する企業が増えているのか。

冒頭で触れた通り、ここ数年で401k(確定拠出年金)を導入する企業が急激に増えてきています。2013年にはNTTで導入され大きな話題になったのを覚えている方もいらっしゃるでしょう。なぜ導入する企業が増えているのか。その背景には年金制度の変化があります。
(1)年金制度が変わってきている
前述のように、従来は「確定給付年金」、つまり決まった金額が受け取れるシステムでした。この決まった金額とは従業員の積立てた金額とイコールではなく、長い時間をかけて運用された分がプラスとして見込まれています。例えば、今年60歳を迎える方であれば、約40年前に当時の金利で見込まれた運用益が元本に上乗せされる形で給付されます。
ただ、金利とはいつの時代も一定のものではありません。良い時もあれば悪い時もあります。金利が高い時に40年後の給付金を約束したものの、その後金利が下がり運用がうまくいかなかったらどうなるか。当然、約束された金額に届かないという事態が起こってしまいます。
なにしろ決まった金額が受け取れるシステムですから、目標額に届かなかった場合は誰かがそれを補填しなければなりません。「確定給付年金」では企業がその役目を負うことになります。金利が高い時代であれば、企業は従業員から預かった掛金を運用し、従業員の年金を確保したうえでさらに利益を得ることも可能でした。
ところが長くデフレの時代が続いた結果、企業の思惑は大きく外れ、利益を得るどころか従業員年金の補填という大きな負担を強いられることになりました。厚生年金基金の解散のニュースも珍しくない昨今、従来の年金制度は大きな変革を迫られているのです。
(2) 時代が「確定拠出年金」を求めている?
企業が主体となっているとは言え、厚生年金はそもそも「国」の仕組みです。変革を求められた国は、アメリカにその答えを求めました。前述の通り、アメリカの「401k」を手本とし、「確定拠出年金」の導入を決めたのです。
2001年の導入からまもなく14年。日本でもようやく本格的な「確定拠出年金」時代が到来していようとしています。それに伴い、企業は従来の年金負担から解放され、逆に従業員は自らの手で年金を運用していく責任を求められています。

3.401k(確定拠出年金)の仕組み

こう書くと、まるで企業の都合で従業員に不利な年金制度に変更させられたように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。すべての制度がそうであるように、401k(確定拠出年金)にもメリットとデメリットがあります。メリットデメリットを見る前に、まずは401k(確定拠出年金)の大まかな仕組みを見てみましょう。
(1)導入する企業に課せられる義務
企業が401k(確定拠出年金)の導入を決定すると、以下の義務が課せられます。
・会社が従業員の掛金を負担する(これは従来通り)。
・社員に対し3つ以上の金融商品を用意する(その内最低でも一つは元本確保型)。
・従業員に対する継続的な運用教育を行う。
掛金を負担することはこれまでと変わりませんが、その後運用がうまくいかなくてもそれ以上の負担を企業が負うことはありません。その一方で金融商品を用意することや、継続的な研修を行うという新たな作業が発生することになります。
(2)加入者がやるべきこと
一方、従業員がやるべきことは以下の通りです。
・用意された金融商品から自己責任で商品を選ぶ。
・任意で掛金を上乗せすることができるので、その判断を行う。
・興味がない運用の研修を無理やり受けさせられる(笑)。
3番目はともかく、一番頭を悩ますのが1番目の商品選びでしょう。特に「自己責任」という言葉が重くのしかかってくるように感じる方も少なくないと思います。その結果、「よく分からないし、運用は怖いから全部預金タイプにしてしまえ」というパターンも。
でも、ちょっと待ってください。その決断をする前に、企業がなぜ「確定拠出年金」に移行しようといているかを思い出していただきたいのです。従業員が預金したものを退職時にそのまま返せば良いだけであれば、事務手続き等を除けば企業に負担はかかりません。そこにプラスアルファをしようとして運用がうまくいかなかった結果、企業が補填をしなければならなくなったことが「確定拠出年金」に企業が移行する動機でした。
と言うことは、普通に預金をしていくだけでは従来の水準の年金額に到達しないということに他なりません。ただ貯金をしていくだけでなく、長い時間をかけて積み立てていくお金をどう育てていくかが、401k(確定拠出年金)を考える上でのポイントになります。

4. 401k(確定拠出年金)のメリット

ここで、401k(確定拠出年金)のメリットを考えてみましょう。既に企業にとってのメリットには触れていますので、ここでは従業員にとってのメリットに焦点を当ててお話ししたいと思います。
(1) 税制上の優遇が受けられる
メリットの一つ目は、税制上の優遇が受けられる点です。401k(確定拠出年金)の税制上の優遇は「掛金を出した時」「運用で利益が出た時」「年金を受け取る時」の3つの場面で用意されています。「掛金を出した時」には、その全額が所得控除となり、非課税となります。通常の所得には当然所得税がかかりますが、401k(確定拠出年金)は将来的に自分のお金になるにも関わらず、その全額が所得としてカウントされません。この部分に関しては所得税がゼロということになります。
さらには「マッチング拠出」という制度があり、従業員は企業が出している掛金の同額を限度に自分で掛金をプラスすることができます。そして、この掛金も全額所得控除の対象となります。通常の貯金では、所得税を引かれた後に残った金額を貯めていくことになりますが、401k(確定拠出年金)を活用すれば所得税を引かれる前の金額を貯金できるわけです。
「運用で利益が出た時」も全額が非課税となります。通常の運用益には所得税20%(復興特別所得税を含めると20.42%)がかかります。長い時間をかけて作り上げた運用益が1/5税金として持っていかれるのか、それとも丸々手元に残るかでは大きく違ってきます。「年金を受け取る時」の税制も優遇されています。
通常なにか大きなお金を受け取る時には、所得税の分類として「一時所得」の形となり税金がかかるのですが、401k(確定拠出年金)を一時金(退職金)として受け取る時は「退職所得」という別の分類となり、一時所得以上の優遇が受けられます。また、年金形式で受け取る場合も、公的年金等控除の対象になりますので所得税を圧縮することができます。
(2) ポータビリティ制度がある
二つ目のメリットが「ポータビリティ」制度です。ポータビリティと聞くと、携帯電話のナンバーポータビリティを思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、基本的な意味は同じです。ナンバーポータビリティは携帯電話会社を変えても電話番号が移管できるシステムですが、401k(確定拠出年金)のポータビリティは勤務先が変わっても自分の年金を移管できるシステムです。
なぜそんなことが可能になったのか? 従来の「確定給付年金」では従業員の掛金は個別ではなく一つの大きなかたまりとして扱われていました。そのため、個人が会社を辞める時にその個人の分だけを取り出すのが難しく、一時金(退職金)として払うしかありませんでした。
退職金としてもらえるのであれば問題ないように思えますが、そもそも年金とは長い時間をかけて老後資金を形成することを主目的としていますので、中途半端な時期に一時金として受け取ったためにその目的が達成できない(要するに老後に至るまでに使ってしまう)ケースがでてきたりします。
それに対し、401k(確定拠出年金)とは元々個人別に管理されていますので、会社が変わっても長期的な視点にたった老後資金形成を継続することができます。ただしポータビリティには条件がありますので、注意が必要です(条件については後述します)。
(3)資産が増える……かも?
前述の通り、401k(確定拠出年金)は将来もらえる年金が決まっていない制度です。これはもしかしたら掛金の全額が戻ってこないかもしれないということですが、逆に言えば掛金が大きく増えて帰ってくる可能性もあるということです。
もちろん、そのためには適切な運用が大切になってきますが、せっかく資金が増える可能性があるわけですから、何もそれを選択肢から外す必要はありません。上手く活用できれば、この点が401k(確定拠出年金)の最大のメリットになるはずです。

5. 401k(確定拠出年金)のデメリット

残念ながら、メリットばかりの制度は世の中に存在しません(笑)。メリットを知った上でデメリットを理解することが重要です。特に401k(確定拠出年金)の場合、メリットとデメリットが表裏一体になっていますので気をつける必要があります。
(1) 運用結果は自己責任
先ほど「資産が増える可能性があるのが401k(確定拠出年金)の最大のメリット」と申し上げましたが、これはあくまでも運用がうまく行った場合のお話。実際にやってみたら元本割れをおこしたというケースも珍しくありません。
また、今は運用の調子が良く大きく資産が増えていたとしても、今後ずっとその状態が続くかは別問題。いざ受け取る時になったら期待していたほど増えていない、あるいは元本を割っていたという可能性は否定できません。従来の確定給付年金のように企業が補填してくれる仕組みはありませんので、運用の結果はすべて自己責任となります。
(2) 選べる商品が限られている
それでは自分でしっかり勉強して運用していこうと決意しても、事態はそれほど簡単ではありません。「企業がやるべきこと」で触れたように、401k(確定拠出年金)では企業が3つ以上の金融商品を用意しなければなりません。
裏を返せば、従業員は会社が選んだ金融商品しか選択肢を持てないということです。もし企業が選んだ金融商品が全てダメなものだったら………、どう転んでもあまり明るい未来は待ってなさそうです。
(3) 引っ越せるとは限らない
次は、ポータビリティ制度の弱点です。先ほど「ポータビリティには条件がある」と書きましたが、その条件とは、「転職先に401k(確定拠出年金)制度がある」ということです。つまり、受け入れる先に同じ制度があれば無事に移管できるのですが、普及してきたとは言えまだまだ採用している会社が少ない401k(確定拠出年金)、転職先に同じ制度があるとは限りません。
そうした場合、前の会社から年金を持ち出したのはいいけれど、受け入れ先がないという非常に困った事態になってしまいます。実際にそんな状況におちいったらどうなるか。その場合は、個人型の401k(確定拠出年金)に移管するしかありません。
個人型は企業型との共通のメリットも多いのですが、企業型と違い掛金全額を個人で負担しなければなりません。そのため、個人型に移管したもののそれ以上の拠出を行わず、現状ある資産だけで運用を行うケースもあります。それでは、長期にわたって老後資金を形成するという年金の目的を達成できません。
(3) 60歳まで引き出せない
前項のように転職して個人型に移管した場合、あるいは公務員や主婦(第3号)などのそもそも401k(確定拠出年金)に加入できない立場になった場合は、状況によっては引き出したいと思う方もいらっしゃるでしょう。
ところが、401k(確定拠出年金)の掛金は、貯まっている資金がごく少額なケースを除いて、原則60歳まで引き出せないことになっています。掛金がなくなるわけではないものの、流動性は大きく損なわれますので注意が必要です。

6. 401k(確定拠出年金)の選び方

では、実際に401k(確定拠出年金)の商品をどう選ぶか。前述の通り金融商品は企業が用意するものですので、ここでは個別具体的な銘柄に触れることはしませんが、基本的な考え方をご紹介します。
(1) 投資という認識を持つ
勘の鋭い方であればもうお分かりでしょうが、401k(確定拠出年金)は「投資」です。これまで投資の世界にはまったく縁がなかった方や投資という言葉を聞いただけで拒否反応がおこる方も、自分の会社が401k(確定拠出年金)を始めた以上、本人の意思に関わらず投資家の仲間入りをしなければなりません。
そう考えれば、企業が行う継続的な運用教育も他人事と思わず、積極的に参加するのも悪くありません。さらに欲を言えば、投資に興味を持っていただき自分で情報を収集することをオススメします。しっかりと知識を得たうえで運用を行えば、投資は決して怖いものではありません。
(2) 元金確保型の危険性
とは言え、これまでまったく興味がなかった投資をいきなり始めることに抵抗感を持つ方も少なくありません。中には掛金の全額を預金型(元金確保型)にしている方もいらっしゃることでしょう。「増えなくても減らなければいいや」というこの考え方。実は大きな落とし穴が潜んでいることをご存知でしょうか。
デメリットのところで触れたように、原則として401k(確定拠出年金)は60歳まで掛金を引き出せません。30歳の方であれば30年間は手をつけられない定期預金を持つようなものです。ここで考えていただきたいのが、いわゆるインフレリスクです。インフレリスクとは、時代ともに物価がじわじわ上がっていくと、相対的に貨幣価値が下がってしまうというリスクです。
具体例で考えてみましょう。30年前に自動販売機で缶ジュースを買うとだいたいのものが1本100円でした。ところが2015年現在、同じ自動販売機で買うジュースが標準的なもので1本130円します。消費税を差し引いても20%以上の値上げとなっています。
同じように30年間で20%物価が上昇したらどうなるか。30年かけてコツコツ1000万円貯めたとしても、60歳で受けとった時は実質800万ちょっとの価値しかなくなってしまいます。増やす可能性を捨てた挙句、実質目減りするようでは選択肢として正解だったかどうかは大いに疑問が残るところです。

7. 投資の基本的な考え方とは

いきなり「あなたは投資家です」と言われて戸惑う方もいらっしゃるでしょう。最後に投資の基本的に考え方について少し触れておきたいと思います。
(1) 大事なのは長期分散投資
「投資」についてどんなイメージをお持ちでしょうか。今まで投資にあまり馴染みのない方は、「大きく儲かることもあれば大損することもある」というイメージがあるかもしれません。確かにそんなやり方もありますが、どちらかと言えばそれは「投資」というより「投機」。よりギャンブル性の強い方法をとった時に起こる現象です。
「投資」に本当に大事なのは「長期」に渡って「分散」して行うこと。この二つを守ればギャンブル要素を抑えることができます。誰しも投資を始めた当初は目先の上がり下がりに一喜一憂してしまうものです。しかし401k(確定拠出年金)の目的が老後資金の形成であることを考えれば、老後になった時に目標額に達していれば良いわけです。極端なことを言えば、今現在の状況をいちいち気にする必要はありません。
あくまでゴールを見据えた「長期」的視点でどっしり構えていましょう。しっかりとした金融商品を選んでさえいれば、例えリーマンショックのようなことが起こったとしてもいずれ取り戻せる可能性が高いということは、金融の歴史が物語っています。そもそも日々の値動きで一喜一憂していたのでは、とても老後まで体がもちません(笑)。
しっかりとした金融商品の選び方は「分散」という考え方でカバーします。「今、○○の株が注目!」などという話も良く耳にしますが、投資先を極端に絞ってしまうと上がるも下がるもその銘柄次第。これでは「投機」の色が強くなってしまいます。「分散」には地域・貨幣・業種そして時間等、色々な考え方がありますので金融商品を選ぶときの基準にしてみると良いでしょう。
(2) 大きな視点で運用を考えよう
昔から「運用は余剰資金で」と言われます。時代によってそのニュアンスも移り変わってくるとは思いますが、やはり資産の大部分を運用資金に回すのはあまり褒められたやり方ではありません。前述の通り、401k(確定拠出年金)は税制上の優遇を始め様々なメリットがある制度ですが、それに釣られてマッチング拠出等でお金を入れすぎると家計全体として運用資金の割合が多くなってしまう可能性もあります。人生の様々な場面でお金は登場してきます。あまり損得勘定に捉われず、大きな視点で家計全体を見渡しながら、運用を考えていきましょう。

8.まとめ

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