2015.9.13

奨学金の怖さを知れば、上手な使い方が見えてくる

1.サラ金よりも怖い奨学金

奨学金は借金である!そんなこと百も承知という声が聞こえてきそうですが、奨学金を借りるのは子供本人。大学入学時に果たしてその意味を理解しているでしょうか?最近奨学金の問題が大きく取り沙汰されています。ライフプランの観点から考えてみましょう。
1度でも奨学金の滞納があると、本人に電話での督促が始まり、3ヶ月以上の滞納になると、奨学生の個人情報がブラックリストに送られます。3~8ヶ月間の間は委託先の民間業者から督促を受け、滞納が9ヶ月を過ぎると「支払督促」が送付され、それでも滞納を続けると、本人の給与差し押さえ(約25%程度)や提訴が始まります。
奨学金の返済が出来ない状況になって、弁護士に相談すると自己破産を薦められます。しかし、自己破産しても借金がなくなるわけではなく、奨学金の申込みの時に記入した連帯保証人が取り立てられます。
昨今住宅ローンでも連帯保証人をとらないのに、奨学金借入には2人の連帯保証人を立てる必要があります。両親だけでなく伯父、伯母、祖父母、お世話になっている人に借金の取り立てが行くわけです。
このような仕組みから、返済できない負債を抱えたまま、自己破産できない状況になる可能性もあり。サラ金からの借り入れが膨らみ、自己破産する人の話も聞きますが、ペナルティはあるものの、一度精算し人生をやり直すチャンスはありますが、連帯保証人が二人もいたら、自己破産なんてできない!です。サラ金より怖い!とはこう言うことです。
ネガティブな言葉が並んでしまいましたが、これは後悔する事態にならないための教訓です。弊社にお越しのお客様には、軽々と二つの谷を乗り越えていただくことが私たちの使命です。ここでは最近の奨学金に関わる相談事例にもとづきながら、甘く見てはいけない学費の話の原因や背景について考えてみたいと思います。

2.未来の家計簿つけてますか?

(1)ライフプランの落とし穴
わが子が大学進学を目前とした時、奨学金の話を「あなたが借金する話」と伝える覚悟はありますか?サラ金より怖いなんて、そんなわけないと言いたいところですが、「厳しいなァ」と言わざるを得ないことがあります。もちろん奨学金は子供の未来を創る大切なもの。これがあることで今社会に出て大成している方も多いはず。
ただ、知らなかったでは済まされない事実があるのです。ここでは奨学金の善し悪しを語るのではなく、ライフプランにおける学費の考え方、準備について最近話題にあがることの多い『奨学金』をキーワードにお話ししていきたいと思います。
私たちは日々お客様のライフプラン二ングをサポートし、人生における二つの谷のお話をしています。この谷は、深さはそれぞれ異なるものの、お子様がいるご家庭であれば必ず訪れます。一つは教育資金の谷、そしてもう一つは老後です。長い人生、お金の収支は毎年同じではありません。特にお子様の教育資金に待ったは効きません。子供が独立し定年を迎えるまでは落ち着きますが、60歳退職の場合年金受給開始までの期間はまた貯蓄を崩すことになります。
収入が潤沢だから我が家には関係ないとおっしゃる方もいらっしゃいますが、収入が多い方はその生活レベルも高いことが多く、それに比例し子供にかける教育費も多くなりがちですから尚更要注意です。
(2)教育資金に待ったはない
子供の未来を案じ、教育にお金をかけてあげようと考えるのは親の心理です。が、子供の教育費は予想外にかかります。特に首都圏で子育てをする場合、幼稚園、小学校という幼児期から習い事や通塾環境は溢れていますから何もさせてないご家庭の方が少なく幼少期から教育費がかかる傾向があります。
中学進学にあたっては、親は公立と思っていても子供が自主的に私学に進学したいと言い出すケースをよく聞きます。子供のために常に最善を尽くしてあげたいのが親心。その時の収入で学費が払えれば行かせてあげたいものですよね。
公立であったとしても、部活や塾代、携帯代、女の子であれば被服代もかかるし、もちろん家族で旅行も行きたいですね。住宅ローンを支払いながら、親として当然当たり前のことをしてきて、子供が高校2年生くらいになると大学受験が目前にやってきます。学費やおこずかい、定期代や予備校代と1万円札はドンドン飛んでいきます。
でも大学費用は学資保険をかけてきた!!そうお金を色分けしておいたことで確保できていて良かった!だと良いですね。保険好きと言われる日本人、学資保険の加入率は6割ともいわれていますが、その金額は満期金で100万円から200万円が半数を占めています。これはおおよそ保険料として毎月10000円を積み立てるイメージの方が多いということからも頷けます。ではこの準備で学費は足りますか?お子様が私立文系に進学を希望した場合、初年度大学に払い込む金額は120万円位でしょう。
しかしながら受験料だけでも数校、学部ごとの受験なので20万円~30万円、もうここで学資保険は使い果たしてしまいました。私立理系の場合、文系より授業料が年間30万円~50万円程度高額になるケースが多く、また最近の傾向として理系は大学入学時から大学院まで進むことが視野に入れたカリキュラム。
4年+2年、授業料だけで600万円です。このころまでに、学資保険以外にこの数百万円を貯められていたか、もしくは収入が潤沢にあればもちろん問題ありません。しかし甘くはないですね。学資保険をかけていても、いや、4割の人はかけてこなかった、しかし大学や高等教育に進むのが当たり前のご時世、『奨学金がある』と助かるのは事実です。
(3)奨学金の返済義務は子供本人ですが・・
『奨学金』は借入です。高校卒業間近の17歳の子供に返済義務が生じます。その返済の重さが理解できているでしょうか?奨学金で例えば月50,000円、年間60万円で4年間借りた場合、240万円です。利息のあるなしで違いはありますが、概ね12,000~15,000円を15年に渡って返済するものとなります。
厚生労働省からのデータから大卒初任給は19万円(地方や中小企業に至っては15~17万円)程度、無事4年で卒業就職にも恵まれ、自宅から通勤となればこの程度の返済は問題なく見えます。しかし、例えば女の子の場合、結婚と同時に退職、出産、そんな時奨学金の返済は重たくのしかかります。
また、卒業と同時に一人暮らしや就職に縁なくバイトや派遣の場合、若くして住宅ローンを組んでマイホームを持とうとした時、短期返済の奨学金返済は重く、返済できず困窮し延滞などに至るケースも後を絶ちません。子供の未来を明るくするための大学進学、奨学金ですが、返済まで含めての理解と計画性がなければ苦しく重いものとなってしまいます。未来の家計簿、ライフプランニングで人生の大きな谷を見据えていれば、知っていれば、回避できることも多いのです。

3.相談事例

こんな相談例がありました。
例1:私が彼に「30歳までには結婚したいけど、結婚資金のことも考えると奨学金完済が間に合わないかもしれない。」と相談すると、「借金を抱えたままで結婚するのか?親は出してくれたりしないのか?」と言われました。
例2:息子の嫁の職歴等は気にしてませんが、彼女は大学進学時に300万円を奨学金で借り、月々1万数千円程を返済中で、200万円程が残っているようです。結婚後、すぐにでも子供がほしいと言っていますが子供が出来ればパートは辞めることになり、奨学金は息子が支払うことになります。奨学金があるなら結婚の際に言うべきではなかったのでしょうか?借金ですよね?
例3:大学卒業し、就職できず契約社員です。手取り18万円程度ですが、この先給料が上がるとも思えず将来に希望がもてません。結婚したい相手もいますが、奨学金の返済もあり、言い出せません。
後悔先に立たずですが、相談事例からなんとなく想像できるかもしれません。

4.まとめ

(1)親世代のライフプランが崩れてきている
今奨学金を返済していらっしゃる20~30歳代の方々の親御さん世代、バブル崩壊後の日本経済の低迷期、所得が思うように上がらなかったご家庭も多いはず。本当だったらお父さんのお給料も右肩上がりで、子供が大学進学までには学費は貯まっているはずだった。でも実際子供たちが大学進学するまでには中学、高校とそれなりにかかり、住宅ローンと親の介護まできた日には給与が右肩上がりであったとしても初年度入学金が学資保険で貯まっていれば立派だと思います。
学資保険で晴れて入学の際に初年度は払えても2年目以降どうしたものかとなるケースも多いようです。将来受給できるであろう年金の諸問題もライフプランの2つ目の谷を軽々を越えられない要因になっています。
(2)雇用情勢と所得の減少、生活レベルの二極分化
働き方が多様化し、自分らしく生きることが求めれらるよになりましたが、一方終身雇用制は崩れ、転職を繰り返す、正規雇用につけないなどが社会問題になっています。そうなると所得は不安定、結婚や出産への不安が多くなるのは当然です。大学進学が当たり前の世の中ですから、裏返せば大学卒業したからと言って安定した収入が約束される訳ではないということです。『奨学金』=『借金』のイメージは薄く、しかし、返済をするにあたって借入の意識が薄かった分返済は重くのしかかります。
ライフプランニングをすることで、全ての問題を解決する事はできませんが、未来にどんなイベントがあり、どう暮らしていきたいのか、それを実現するために『守る・貯める・増やす』といったお金のポートフォリオ(未来の家計簿)を作成することで、安心した人生を送る事ができます。まずは奨学金ではなく、自分の家計と子供の将来を考えて上手に奨学金を利用したいですね。

執筆:久保田正広

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